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11月のうまいもん/秋のきのこ

今月のうまいもんさかばやし

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低カロリーで、免疫力アップに役立つきのこはいかが?
 秋は食欲が高まる季節。この時期になると秋の味覚として美味しくなる食材が取り挙げられます。戻り鰹に、紅葉鯛、魚へんに春と書くのに実は鰆も秋が旬。鱧だって夏ではなく、晩秋が本当の旬に当たるのです。栗に柿だってこの季節の産物。こうして考えれば秋の味覚はたくさんあることがわかります。
 そんな中でも日本人がイメージする秋の味覚は、松茸ではないでしょうか。丹波産の松茸は高嶺の花ですが、その地域以外の国産の松茸も希少で年々高価になっています。もはや国産の松茸は庶民には手の届きそうもない超高級品になってしまいました。韓国産でも高級品で、中国産やトルコ産がなければ、食卓には並ばないかもしれません。安価に出回っているカナダ産も同じ。ところがアメリカ大陸の松茸は、日本産とは遺伝子が異なるため、松茸のもどきのような印象を持たれます。そんな松茸ですが、ありがたがるのは日本人ぐらいのようです。海外では、食材としての価値が低く、軍足のような匂いと嫌う人も多いよう。それでも松茸の魅力は、何といっても外国人が嫌う香りにあります。松茸の香り成分は、マツタケオールと呼ばれ、独特なもの。この香りを生かして吸物に入れたり、炊き込み御飯の具材にしたり、はたまた土瓶蒸しにしたりと、あれこれ工夫しながら我々は、秋の味覚の代表格である松茸を楽しんで来ました。
 “香り松茸、味シメジ”と古くからそんなフレーズを耳にしますが、これは香り中心の松茸に対して、シメジは味がいいと表現したもの。これとて天然の本シメジを指しており、栽培もののシメジと分けて考えねばなりません。本シメジは、コナラ林やアカマツ林の樹木に菌根をつくって共生するもので、巷にはあまり流通していない、全て天然の稀少品なのです。ところが1999年にタカラバイオが、赤土と大麦などの穀物粒を主成分とした菌糸瓶法で人工栽培を成功させたために、栽培ものが世に出て、そちらが主流に。そのおかげで少しは身近な食材になりました。シメジには、大きく分けて本シメジ、ブナシメジ、ハタケシメジ、の3つがあります。この中で最もよく食すのがブナシメジではないでしょうか。ブナシメジは、食感がよく、独特の旨みと甘い香りが特徴。クセが少なく、その上、季節に関係なく安価で入るために、今ではシメジの代表のような感じになってしまいました。
 キノコ類は、低カロリーで栄養豊富な事から健康に良いとされています。免疫力アップにも良いと言われており、これから寒くなる季節にはぴったりな食材かもしれません。免疫力アップの食材としてよく取り挙げられるキノコといえば、タモギ茸でしょう。タモギ茸は、漢字にすると「楡木茸」と書き、ヒラタケ科ヒラタケ属のキノコ。その字からわかるように楡(にれ)の倒木などに生えます。黄色い傘が特徴的で、天ぷらにしても美味しく、特に汁物に入れるといいだしが摂れる事から評判が高いようです。昨今は、タモギ茸を使った健康食品も出回っており、その健康効果に注目が集まっていると聞きます。タモギ茸に含まれるエルゴチオネインは、アミノ酸の一種。抗酸化作用があるものなので某TV番組では、認知機能(記憶力・注意力)に良いなんて特集が組まれていました。注目されているわりには、まだまだ食べた事がないという人も多く、キノコの季節だからこそ一度味わってみて欲しいキノコです。
 さて、「さかばやし」では、11月のうまいもんを「きのこ」に定め、会席料理の一部や一品料理に秋の「きのこ」を取り入れます。ぜひこの機会に秋の味覚「きのこ」をご堪能ください。
 
(フードジャーナリスト・曽我和弘)
2023年11月

 

料理長おすすめ「きのこ料理」の一品
■秋きのこの佃煮      650円
■きのこと水菜のお浸し   750円
■きのこと鱧の南蛮漬け   850円
■きのこと穴子の天ぷら  2,800円
※おすすめの一品は前日15時までのご予約にて承ります。
※価格は税込価格です。
※写真はイメージです。