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『「福寿」を味わい、体感する特別な空間へ』蔵元ショップ「東明蔵」のカウンターのご紹介

神戸酒心館SDGsへの取り組み東明蔵

2025年3月、蔵元ショップ「東明蔵」は、日本酒「福寿」を五感で楽しめる体験型施設として生まれ変わりました。
ここでは、20年以上愛され続ける名物酒「蔵直採り生酒」を量り売りでお楽しみいただけるほか、福寿の日本酒を試飲し、その魅力を存分に味わえる特別なカウンターをご用意しました。
伝統が息づく酒造りの世界と、革新を取り入れた新たな体験が融合するこの空間で、「福寿」の奥深い味わいと歴史をじっくりと感じていただきます。

 

≪看板(福寿)≫
時を超えて語り継がれる「福寿」の看板



1751年の創業以来、受け継がれる酒造りの伝統とともに、福寿は数々の困難を乗り越えながら歩んできました。
特に、1995年の阪神淡路大震災では、木造の酒蔵が壊滅的な被害を受けました。
しかし、私たちは復興への決意のもと、残された柱や材、道具の一つひとつを大切に守り続けました。
その中で、奇跡的に損壊を免れたのが、木造蔵に掲げられていた「福寿」の看板です。
震災にも耐え抜いたこの看板は、酒蔵の歴史を今に伝え、復興への象徴としてその存在を輝かせています。
この看板に刻まれた文字は、時代を超えた職人の誇りと、困難を乗り越えた福寿の精神を物語っています。ぜひ、酒造りの歴史が息づくこの看板をご覧いただき、福寿の歩んできた軌跡を感じてください。
 

≪テーブル(天板)≫
酒造りの伝統を受け継ぎ、歴史を感じる空間へ



「福寿」の酒造りには、深い歴史と職人たちのこだわりが息づいています。
ご来店いただいた皆様には、ただ日本酒を味わうだけでなく、酒造りの伝統そのものを感じていただけるよう、細部にまで想いを込めています。
その一環として、かつて酒造りで使用された道具を単に廃棄するのではなく、新たな命を吹き込むリノベーションの取り組みを行っています。
カウンターの天板に使われている材は、日本酒を搾るための重要な道具である酒槽(さかぶね)を再利用したものです。
今もその名残として、酒槽に刻まれていた文字が見て取れます。
使用された木材には、ヒノキやサクラなど、今では貴重な種類が含まれており、その美しい木目や重厚感は時を経てもなお輝きを放っています。
こうした歴史ある木材を活かすことで、酒造りの精神を感じていただくことができる空間を創り上げました。

 

≪テーブル(正面板)≫
「福寿」の酒造りは、六甲山の恵みとともに歩んでいます。




六甲山の豊かな自然を守ることは、良質な日本酒造りに不可欠です。
林業が盛んではない六甲山ですが、環境保全活動の一環として間伐が行われています。
しかし、伐採された木材は径が小さく、活用が難しいという課題があります。
この課題に向き合い、私たちは間伐材をカウンターの正面板として活用しました。
これは、六甲山の豊かな自然を大切にし、その恵みをより身近に感じていただくための取り組みです。
今回使用した木材は、六甲山に自生する針葉樹と広葉樹を組み合わせ、アカマツ、スギ、ヒノキ、ケヤキ、コナラ、クスノキの6種を散りばめました。
木目や色の個性を活かすことで、カウンター全体が自然の美しさを映し出すデザインに仕上がっています。
さらに、木材の大きさを不揃いにすることで、一つひとつの木の持つ表情を楽しんでいただける工夫を施しました。
六甲山の恵みを感じながら、環境保全の意義を共有できる場となることを願っています。