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4月のうまいもん/神戸元気サーモン

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4月のうまいもん/神戸元気サーモン

質の良さには「福寿」酒粕の効果あり!

 春になると、東須磨からは「神戸元気サーモン」出荷の便りが聞こえて来ます。「神戸元気サーモン」は、神戸市漁業協同組合に属する東須磨底曳き会の漁師達が手掛けるご当地サーモンで、2018年から毎年の冬に須磨の海上生簀で養殖されているニジマスです。きっかけは兵庫県からの呼び掛けで、その当時垂水と須磨浦、東須磨の漁師達が手を挙げて養殖に参加しました。そのうちの東須磨底曳き会の6隻の漁船の漁師が東須磨サーモン部会を立ち上げて新規事業に臨みました。それが神戸元気サーモン誕生のきっかけです。
 奥谷知生さんら東須磨サーモン部会の面々では、当初愛知淡水より400gのニジマスの稚魚をもらい受けて須磨海上の生簀に放ち、一般的な餌(ペレット)で育成をスタートさせたのです。奥谷さんは、せっかく須磨の海で育てるのだから神戸らしい特徴を持たせようと、餌を工夫する事にしたそうです。神戸だけにパン屋から出るパン屑を与えるのがいいと思ったらしいのですが、海浜事業部に相談すると、「パンにはバターが含まれるために、それを食べたニジマスが肝臓を悪くして痩せ細る恐れもある」と指摘されて断念。他に神戸らしいものがないかと思案している所に現れたのが「福寿」の酒粕でした。酒粕は健康的要素が高く、人が食べても身体にいいといわれるぐらいですからニジマスに与えたとて悪影響があろうはずはなく、おまけに福井県には「小浜よっぱらいサバ」といって酒粕で育てた好例があります。奥谷さんは、神戸酒心館とはかつてのイベントで知己もあったので直接相談して「福寿」酒粕を分けてもらう事になりました。それと同時に毎冬開催される酒粕プロジェクトにも参加が決まり、神戸らしい特徴を持ったサーモン育成への道が開けたのです。
 東須磨サーモン部会では、「福寿」酒粕を酒蔵から直接仕入れ、それを溶かしてペレットに混ぜ込んで与えます。当初は半信半疑だった効果も与えてみるとびっくり!酒粕を食べたニジマスの身は鮮やかなオレンジ色になって締まりもよく、味も養殖特有の脂っぽさが消えてあっさりめに。鱒独特の匂いまで感じられなくなったのです。当初は一般の餌で育てたものと、酒粕を与えたものに分けて養殖していましたが、その二つを仕入れたシェフからは「断然酒粕を食べさせた鱒の方が旨い」とのお墨付きをもらい、翌年からは胸を張って酒粕を与えるようにしました。現に「さかばやし」の大谷直也料理長も「鱒くささもなく、造りに使ってもいい。生で食せる利点が出た食材」と絶賛。故に出荷する春先には、「神戸元気サーモン」をメインの食材として献立を構成しています。
 昨春、私も海上の生簀を見学して来ましたが、港内の生簀に奥谷さんの船が近づくと、「旨いものが食べられる!」とばかりに鱒は飛び跳ねます。東須磨サーモン部会の漁師によると、「一般的な餌も自動餌やり機を使って定時間ごとに与えていますが、酒粕を与えた時とは全く違って魚達はどこ吹く風に。ところが酒粕をやる時間になると、やたら活気づき、このように飛び跳ねるのです」との話でした。やはり旨いものは、魚達もわかっていてそのような反応を示すのでしょう。奥谷さんも「色んな例を参考に出荷までに計21回はその手の餌を与えていますが、喰いがよくなったので2kg超えもザラに出て来ています」と話していました。
 現在、東須磨サーモン部会は、鳥取からスチールヘッド(ニジマス)の稚魚を購入し、約5カ月間須磨の海の生簀に放流して育てています。3月半ばぐらいからが出荷時期で、旬は4月中。水温が20℃に達するGW明けをめどに養殖を終えます。丁度4月は、「神戸元気サーモン」が最も美味しい時期で、「さかばやし」でも4月のうまいもんのテーマ食材として、会席料理の一部や一品料理で提供します。「神戸元気サーモン」の良質の味わいが堪能できる「神戸元気サーモンのしゃぶしゃぶ」も要予約で提供しますので、ぜひこの機会に神戸の新名産に舌鼓を打ってみてください。

(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)
2026年4月

料理長おすすめ「神戸元気サーモン」の一品
■神戸元気サーモン春野菜サラダ       950円
■神戸元気サーモンの造り        1,500円
■神戸元気サーモンの香草焼       1,750円
■神戸元気サーモンのレモン小鍋      1,900円
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