神戸酒心館

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10月のうまいもん/キノコ料理あれこれ

今月のうまいもんさかばやし

きのこ03e

「松茸だけではなく、秋に旨くなるキノコはいっぱい」

 
 実りの秋、食欲の秋と様々な表現でこの季節を呼びますが、「さかばやし」の幸徳伸也(こうとくしんや)店長にとっては待ち遠しかった“キノコの秋”が到来したのかもしれません。キノコ研究家なる別の顔を持っているからです。10年以上前に単純に「キノコが食べたかったから」と兵庫きのこ研究会に入会したのがきっかけで、以来趣味が高じてキノコを研究しているそう。同会自体は、すでに20年近くの歴史があって10代から80代まで約50名が在籍しています。主な活動は3~11月まで六甲山などに発生するキノコの定点観察会ですが、過去には神戸出版センターからは「兵庫のキノコ」なる1冊を上梓しているほど積極的な活動が知られています。
そこで代表を務めている幸徳店長に聞くと、「一年を通して最もキノコが発生するのは夏ですが、日本の特性上、やはり秋が旬といえるでしょうね」とのことでした。特性上と書いたのは、日本のキノコが松茸に代表されるからです。キノコは日本に約1万種あると言われ、そのうち名前が付いているのは約6000種、食毒が判明しているのは約1000種だそうです。「食べて美味しいキノコは約100種で、美味しいキノコは秋に多く、どうしても日本人は“キノコ=秋”を印象づけるのでしょう」と話していました。
 俗に、“香り松茸、味しめじ、”といわれるように味に限っていうならば、値のはる松茸よりしめじに軍配を挙げずにはいられません。殊に本しめじに勝る味は他にはないとまで食通も言っています。本しめじとは、シメジ科シメジ属のキノコを指し、大黒しめじとも呼ばれます。コナラやアカマツなどの混成林の樹木に菌根をつくって生まれ、時に群生することもあるそうです。傘の下部分が徳利のように膨らむ形をしており、天然物の収穫量が非常に少ないこともあって、こちらも高値がついているのです。ところが、近年はタカラバイオによって栽培可能に改良したものが流通し出したために、天然ものとごちゃまぜになって「本しめじが高値」なんて表現すると知らない人からは誤解を招きかねません。ただ、外見・食感・風味もブナシメジやハタケシメジとは比べものにならないので、栽培ものといったところであなどれないのも事実でしょうが…。
 過去三回、旬の会でキノコをテーマにした催しをしていますが、その印象ではやはり研究家らしく幸徳店長が提案したメインディッシュのキノコ鍋が秀逸でした。キノコを幸徳店長がある程度選び、それを加賀爪正也料理長がうまく調理しました。それは、お客様からも上々の評価を受け、「さかばやし」の秋の名物料理に成長させてもいいほどの出来映えです。色々なキノコを鍋で煮ていくのですが、鍋の中はキノコ一色。他の具材が霞むほどキノコからいいだしが出ていたのです。加賀爪料理長にこの鍋のポイントを聞くと、「とにかく沢山のキノコを入れて一緒に煮込むことが旨さにつながります」とのことでした。幸徳店長も「各々のキノコから出てくる味が違うため、相乗効果もあってだしがよくなるのだと思います」と語っています。キノコの秋を迎えるのだからこんな食べ方も一考なのだと改めて知らされました。
 さて、「さかばやし」では、10月のうまいもんを「キノコ」に定め、色々な種類のキノコを使いながら会席料理の一部や一品料理をメニュー化してみました。キノコ博士と呼ばれる幸徳店長のアドバイスも加えながら加賀爪料理長が仕上げたそれらの料理をぜひこの機会に堪能してください。
きのこ(しめじの食べ比べ)01a
(フードジャーナリスト・曽我和弘)

 

料理長おすすめ「きのこ料理」の一品
■きのこと黒毛和牛の小鍋  2,800円
■丹波占地と丹波地鶏の塩麹焼き 2,600円
■大黒占地と舞茸の天ぷら  1,550円
丹波地鶏の塩焼き(きのこ添え)・純米吟醸01as黒毛和牛のきのこ鍋01as

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