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3月のうまいもん/蔵元ならではの酒粕料理

IMG_1746昨今は酒粕がブームになっているようです。テレビや新聞などで酒粕による効能が伝えられ、東灘区の岡本商店街でも店々がこぞって酒粕メニューを出しているので、ブームのように見えるのもその要因のひとつです。関西、特に神戸周辺においては神戸酒心館と私とが酒粕文化存亡の危機を訴え、三年前に酒粕プロジェクトを立ち上げたのがきっかけでした。

有馬温泉の老舗「御所坊」さんと「さかばやし」が独自の酒粕鍋を考案して対決した企画を皮切りに、その後我も我もとプロジェクトに参画してきて三度目の冬で大きなうねりとなりました。

そもそも酒粕とは、日本酒のもろみを圧搾した後に残る固形物を指します。言葉では「かす」になるのですが、その残り粕の成分がよくできており、タンパク質、ビタミンB1・B2・B6、葉酸、パントテン酸、食物繊維と多くの栄養素を含んでいるのです。調理に使うと、酒の香が漂って食欲が増すだけでなく、食材に含まれる旨みを引き出す役割や味わいをまろやかにする効果をもたらしてくれます。近年では健康面にも注目されており、糖尿病や高血圧の予防になるとの医学的報告も寄せられています。
先程、その酒粕を用いた食文化が危機と言ったのは、日本酒業界の技術革新が原因。高熱液化仕込み(高温糖化法)を取り入れる蔵もあり、そのため以前より酒粕が出なくなってしまいました。こういった意味からも市場では酒粕が不足する可能性もあり、延(ひ)いては酒粕文化存亡になってしまうというわけです。幸い「神戸酒心館」では従来の造り方を頑なに守っているので良質な酒粕も出きますし、「福寿」の酒粕はプロの料理人や家庭の主婦からも高い評価を受けているので、この文化を牽引するのにふさわしいと考えたわけです。

和洋中カフェの店々が参加している現状で、やはり牽引役も酒粕にまつわるメニューを開発せねばなりません。「さかばやし」では、粕汁や酒屋鍋を提供していますが、これを機に酒粕メニューを多く開発し、文化の牽引者たる態度で臨む決意を掲げました。今春からは、加賀爪料理長考案の酒粕メニューが続々と登場する予定です。
それともう一つ、冬の食材としての域を脱しなかった酒粕料理をこの機会にいつでもお楽しみできるようにしようと考えました。昔は冬しか酒造りは行われていませんでしたが、現在は技術革新が進み、需要も高まっているので晩春から夏にかけて休むくらいになっています。ということは、その期間は酒粕が出なくてもある程度の量は確保ができるということです。ならば四季を通じての酒粕料理をご提供していくことがブーム牽引者の役目だと思うのです。神戸周辺には良い食材があり、これに酒粕を使ってみるのも一つです。例えば、神戸ビーフの粕漬けなんていうのも神戸らしくて面白い料理になるはずです。加えて、昔よく火鉢でよくやっていた酒粕にザラメを載せて焼くのも郷愁を誘っていいものです。
3月30日には「花見鯛のしゃぶしゃぶ、蔵の酒粕料理とうすにごりを楽しむ会」を開催する予定です。3月から4月にかけて「さかばやし」の一品料理の中で様々な酒粕料理をご提供していきますのでご期待ください。

(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)

 

お知らせ
蔵の料亭 さかばやしは、厨房および内装工事に伴い1月末より休業しておりましたが、3月3日(金)にリニューアルオープンする運びとなりました。酒蔵らしい春ならではの新しいメニューをご用意して、皆様のお越しを心よりお待ちしております。なお、週末はすでに多くのご予約をいただいております。恐れ入りますが、ご利用の際はお電話にてお問い合わせください。

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