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酒心館チャンネル 003_温度で分ける日本酒/冷やす「冷酒」、温める「燗酒」、何もしない「冷や」

こんにちは。
今日は「温度で分ける日本酒」についてお話をします。
皆さんは日本酒をどのような温度で飲まれていますか?
日本酒を冷たくして飲まれる方、温めて飲むのが好きな方、様々だと思います。
夏に温かい燗酒を飲むというのもなかなかいいものです。

燗酒には6種類の名前があることをご存じですか?
一番低い温度の燗酒は「日向燗」と呼ばれています。ちょうど摂氏30度。
日向燗から5度毎に燗酒の名前がついています。
日向燗の上が「人肌」。35度くらいです。その上が「ぬる燗」。
そしてその上が「上燗」。上下の「上」の燗酒で上燗と呼びます。落語に「上燗屋」という噺があり、とても面白いのでぜひ聴いてください。
上燗の次が「熱燗」。そして、その上が「飛切燗」と言います。
日向燗、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、飛切燗。
この6つを、お酒を温めた時の温度帯の名前にしています。

では冷たい温度帯はどういう名前がついているのでしょう。
「涼冷え」、「花冷え」、「雪冷え」と言い、15度、10度、5度と下がっていきます。
冷やして飲むお酒、「冷酒」の場合は3つしか名前がありません。
15℃の「涼冷え」は「涼しい」の冷え。そして「花冷え」。花冷えの頃ですね、と同じです。暖かくなってきた桜の咲く頃、また寒さを感じることを花冷えと言いますが、それと同じです。10度です。そして「雪冷え」というのが5度です。

温かい側には6つの名前があるにも関わらず、冷たい側には3つしかありません。伝統的な日本酒は、温めて飲んでその美味しさがより一層広がるという個性が、昔からずっと今日まで続いています。推察ですがこの理由により温かい側の区別が6つ、明確にあったという風に考えられます。
冷たくして飲むお酒は、冷蔵庫が十分に利用できるような環境を待たなければなりませんでした。50年ほど前に電気冷蔵庫を使い始めた後、冷たい側の用語が必要になり、温かい側より範囲も狭いために3つになったと考えられます。

ではその中間帯、30度よりも下、15度よりも上はどういう風に呼んでいるのでしょうか
この温度帯は「冷や」といいます。
冷やすという漢字に送り仮名の「や」を付けて「冷や」と呼びます。「冷や」というのは常温のことです。
冷暖房などがない時代に、土間に置いたお酒の温度を「冷や」と呼びました。
お客さんから「冷や、ちょうだい」と言われると、お店の人は温めも冷たくもしてないお酒を持っていかなければなりません。
最近は冷やが「冷酒」であるかのように勘違いされてる方もいます。常温のお酒を持っていくと、「全然冷えていないね」といわれ、困った状態になります。
いずれにしてもこのような温度帯があるということを知っておいてください。

このようにたくさんの温度帯、5度から55度までの温度帯でお酒が飲めるというのは非常に面白いことです。
これほどの温度バリエーションで楽しめる酒は日本酒だけではないかと私は考えています。
世界には温めて美味しいお酒もあります。
冷たくして美味しいお酒、そして1度から2度ごとに香りや味が変化するワインもあります。
しかし日本酒は同じお酒の温度を5度、10度、15度と変えることで、まったく違う味わいや個性を表現します。

日本酒はとても面白いお酒です。
日本酒の「温度の違い」を実際に体験し、楽しんでください。

*字幕付きでご覧いただけます(日本語・英語)

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